奨学金交流会

僕は米国進学にあたって,某奨学金からご支援して頂く.本当に感謝してもしきれない.その分,奨学生として恥ずかしくないように,しっかり結果を残さなければならないと責任も感じる.

先日,その財団の奨学生のOB,OG,現奨学生が集まる交流会があった.そこで感じたことを簡単に綴っておきたい.

奨学生に採用された方は文系の割合が多く,いつも工学部棟で籠りきっている僕には新鮮な経験であった.法学,政治学,心理学,芸術,ビジネス,人道支援をするNPOの方など本当に多様性のある集まりであった.

お互いの専門の事,将来どのような風に活躍していきたいか,という事を挨拶代りのように沢山の方とお話しした.国連で働き人道活動をしたい方,美術作品の修復技術を学び,作品の保存に尽力したい方など,おそらくこの奨学生のつながりがなければ一生出会うことがないような方とお話でき,非常に中身の濃い時間を過ごせた.

そんな多様性のある中で感じたのは,自分の専門は社会的にどういう場所に位置するのか,またどのような社会の流れの中でどのように発展させていくべきなのか,という航空宇宙産業全体に対する問題意識だった.

今まで自分は,自分の研究のことばかり考えていた.しかし先日は産業全体の流れ,未来への展望について沢山質問を頂いた.同時にうまく答えられなかったことが歯がゆかった.例えばビジネスの方には,航空宇宙分野への民間企業の参入について技術的な面,産業規模の面,日本・米国・欧州の違い,また最近の中国などの台頭について聞かれたが,具体的な数字を出しながら論理的に答えを返すことが出来なかった.こういうものは普段から問題意識を持ち考えておかないとなかなか答えられないと痛感した.

航空宇宙分野はよく夢物語の技術で,国家単位,独占企業(ボーイング,エアバスなど)でしか機能しないような閉じきった産業と思われがちだ.実際この意見は間違ってはいないと思うし,つい最近まではそうだっただろう.しかし,近年格安航空が参入したように,航空産業では,「快適さはさておき,安く乗る」という今まで不可能だった需要が満たされつつある.米国ではSpace Xなどの民間企業が国際宇宙ステーションへの物資輸送のロケットを運行するようになったこの先「もっと早く飛べる,割高でもいいから超音速旅客機などを利用したい」「数分でもいいから宇宙旅行をしたい」など需要が多様化する事が予想される.

こうした需要の多岐化に対し,「技術的に成し遂げなければならないことはなんだろうか?民間企業,国家機関はどのように関わり,法整備,資金源はどのようにしたらよいだろうか?実現にはどれくらいかかるだろうか?」という事も,考えなければならないと思った.また僕は今まで航空宇宙分野の発展は,研究による技術開発ばかりに目を向けていたが,実は他のアプローチもあるのではないかとさえ思った.

そんなわけで,僕は自分の専門に対し,あらゆる視点で知識不足,問題意識不足なのだと改めて思い知った.また,他分野の方と話をすると,自分の専門を違う視点から見直すきっかけになり,新たな問題意識が生まれると感じた.研究して技術開発に貢献するのも大切だが,航空宇宙分野全体の動向に対し一家言を持つような人材になれるよう日々精進しようと思う.

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